the Drop Down Sirius

日常・一次創作・二次創作ごった煮

Golden Vol.2/side of Chiyoki



     《!》Attention《!》

 話の進行上やむを得ないとはいえ、そんなに詳細な描写ではありませんが、暴力的なシーンが含まれています。
 嫌悪感を催すおそれのある方は閲覧をご遠慮下さいますよう宜しくお願い致します。




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 俺の持つ肩書きは、ティーニカ商会常務兼営業課課長と冒険家協会所属のシーフ・武道家、それから孫と息子と兄と父親と……他に何かあったか?


 あと、裏の顔というか、本業として。


「そういえば、グリちゃんには話してないのね。うちとの関係」

 そう言うと、ぼんやりと遠くを見つめながらロテュスはアロエジュースのストローを弄ぶ。

「この件に関してはグリシーヌは不可侵。きみのところの風散くんと同じだ」
「まぁ、そうなんだけど」
「それに、僕が以前からきみの家のことを知っていただなんて今更言えると思うか?」
「確かにこのまま隠しておいた方がよさそうね。でもロテュス……あんた、この先ずっと、一人でこんなこと抱えてくつもりなの?」
「それこそ今更な話。もう二十年だぞ。それに、前にも言った。僕が決断したこと。たとえ伴侶ができようとも、これは墓まで持っていくべきだ」

 いつもこいつはそういうやり方で大事なものを守る――全く、悪い癖だ。

「それ以前にあんた、その嫁すらいないでしょ。独り身が気楽でいいってのもわかるけど、うちと違ってあんたしか跡取りいないんだから、そろそろどうにかしないとせっかく頑張って再興した家ぶっ潰れるわよ」
「うるさいな」
「こないだ言ってた女シーフでいいじゃないの。多少格下の家の娘を娶ったって、あんたの力と地位と口車があれば周りを黙らせるなんてこと簡単でしょうに」
「それは不可能ではないけれど、彼女はダメだ」
「どうして」
「純粋すぎる。きみや僕には関わってはいけない部類の人間だ」


 始末屋ギルド『瑠璃蜘蛛』の副マスター。



     Golden Vol.2/side of Chiyoki



 ロテュスの体にある傷痕の理由を知ったのは、本当に偶然だった。

 ビガプールで国の要人を暗殺したことがロテュスにバレたその夜、俺は祖母の言いつけでロテュスの住む屋敷に向かった。口外はしないと約束はしていたものの、もしそういう素振りが見られれば本人は勿論それを聞いた者を消す為だ。

 いつも学校やギルドでつるんでいるロテュスを、いざそのときになったら殺せるか、といわれたら、それはわからなかった。


 でも、昔から取り決められている「掟」だから。


 屋敷の警備は、思っていたよりも緩かった。当時の侯爵であるロテュスの父親のディステル・セルジュ・デヴェレイは、産業に関する商才はそれなりにあったものの政にはほとんど関与していなかったから、敵が少ない=警戒する必要もなかったのだろう。(一方、ロテュスが当主になった現在の屋敷はガッチガチだ。メイドは全員冒険家上がりで何らかの武器を扱えるし、契約の関係もあって護衛としてうちの手の者も潜ませている。しかも全員なかなかの別嬪さんときた――ここはあいつの趣味だな。)
 そして難なく侵入した俺の視界に入ってきたのは、信じ難い光景だった。


 ロテュスが、母親らしき女から、暴行を受けていた。


 殴る。蹴る。物を投げ付ける。薬品のようなものが入った瓶――あれは、プリンセスが攻撃用に使うボトルじゃないか?

 壁や床に散る赤い飛沫。微かに鼻をつく臭い。

 かと思えば、回復用のポーションを投げ付ける。


 繰り返し。


 息子が怪我をしているというのに、それを冷たく見下ろしたまま何かぶつぶつ呟いている夫人。

 床に転がって、小さく呻きながらも全く無抵抗のロテュス。 



 吐き気がした。



 何人もの命を奪っているのに、おかしいと思うかもしれない。俺自身も思った。

 親しくしている友人がその実の母親に虐げられているという光景は、絆を重んずる家で育った俺にとってはそれだけ衝撃だった。


「ちょっとした事故で」

 傷痕の理由を訊かれ、そんなふうに受け流していたロテュスの心境はどんなだっただろう。



 一応一晩見張ったけれど、結局ロテュスは誰にも俺についてのことは漏らさなかった。

 そんなこと、できるはずもない。何しろロテュスは、屋敷にいる間中ずっと、虚ろな目をして言葉少なに過ごしていたからだ。

 学校やギルドにいるときとは全然違う、弱々しい、儚い姿だった。

 この様子では他言することはなさそうだと判断した俺は、早々に引き揚げた。


 何しろ気分が悪かった。



 あいつは一体、何と戦っている?

 何の為に剣を振るう?

 外では目立たぬように振る舞って、家では母親の暴力に耐えて。


 きっと、うちのことを誰にも言わないのは、あいつの中では始末屋なんてごく小さな存在に過ぎないからだろう。


 その先に見ているものに、興味が湧いた。



 うちとの契約が交わされた何日か後、虐待の現場を見てしまったことを何となく白状すると、ロテュスは苦笑した。

「きみになら、話してもいいかもしれないな」

 そう言って静かに語ったのは、神聖都市アウグスタにいるという腹違いの妹のことだった。





     <To be continued. → Vol.3/ side of Lotus>





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 ちよちゃんサイドのばっかり冒頭に注意書き付きよるのは何故なんだぜ?


 ロテュスの受けた虐待に関しては次回に続きます


 うっうっ 紅葉さんとの関係性のやつもアレしないとアレだよアレアレ






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半井
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女性
職業:
ごはんをつくるヒキコモリ
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なんかかくこと
自己紹介:
チーズと鶏肉でホイホイ釣られるチョコミン党員しょうゆ厨
原産:駿河国
生息:伊賀国

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