the Drop Down Sirius

日常・一次創作・二次創作ごった煮

Golden/Vol.1 side of Lotus




「あ、そういえば。あんたアレ出る?」

 グラスに入ったブランデーを一気に空けた千代木が言う。互いに仕事が忙しくとも、月に数度は馴染みの酒場の決まった席で杯を交わす。どちらから言い始めたのでもない。いつの間にかそれが当たり前になっていた。

「アレ?」
「聖クレメンスの同窓会。案内来てたでしょ」
「知らないな」
「何でよあんたアタシと違ってちゃんと毎日家帰ってるでしょ」
「最近は寝るだけの為に帰ってる」
「何、議会が踊ってんの?」
「いや。領地内で揉めてる」
「何したのよ」
「カセレスの養蜂場で横領と不正輸出が同時に発覚してね……同窓会どころじゃないな」
「えーつまんなーい」

 店主にお替りを要求。もう四杯は空けている。どれだけ飲むつもりだこいつ。

「じゃあー、アタシも行くのやーめるー」

 女子か。

「きみは行った方がいいんじゃないのか」
「バっカねぇ。アタシとあんたが揃って出るから意味があるんじゃないの」

 ああ、昔からそうだ。
 こいつは何かと僕のことを気に掛ける。

「あんた前回のも欠席だったんでしょ? ティーニカの御曹司がつきまとってたあのネクラなロテュス・ドヴィルが実はナクリエマの侯爵ロテュス・エルマン・デヴェレイでしたー、なんて言ってみなさい。みんな腰抜かすわよォ?」

 ネクラは余計だ。

「今更あの中での地位を確立しようだなんて思っちゃいないよ。……でも、まぁ」


 それも面白いかもしれないな。



     ‐Golden/Vol.1 side of Lotus‐



 家庭教師を雇うこともあるようだけれど、近年の貴族の子どもというのは格式高い名門学校に通わされる場合が多い。その中で学問は勿論、にこにこと笑いながら他人の値踏みをすること、距離を計ること、そして己の立場と振る舞いを学び、身に付ける。そういう家に生まれた瞬間から、公共の場は戦場だ。
 その点聖クレメンス学園は、古くからあるそれなりに名の知れた学校ではあるものの、本来なら貴族の子どもが行くような場所ではない。着崩した制服姿の生徒たちがげらげら笑いながら校内を闊歩するそのさまは、とてもじゃないが外面を取り繕うばかりの「高貴な人間」には受け入れ難い環境だろう。

 そんな中に貴族出身の僕が放り込まれたのは、十三歳になる少し前。

 何故父が僕を聖クレメンスに入れたのか――その真意は今でもよくわからない。貴族だらけの学校なんかに入れたら人間が歪むとでも思ったのだろうか? とはいえ、そういうところへ行かなかった割に僕は随分とひねくれてしまったわけだけれども。(それについては自覚はあれども直そうと思って直せるものではないし、それでもう三十も半ばに差し掛かってしまっているから諦めがついているとして。)

 命を狙われたり誘拐されたり、そんな危険な目に遭わないようにと、一応偽名を使わされた。特に行動について制限されてはいなかったけれど、僕は自然に「地味でおとなしい生徒」でいることを選んでいた。問題を起こせば正体が知れる可能性が高まる。目立たないに越したことはない。

 一方の千代木はといえば、とても目立つ存在だった。

 図体も態度も大きく、かといって教員に逆らうでもなく上手い具合に接していた彼は同学年の中でも群を抜いて大人びていたように思う。その上全体的に成績もよく、まだ歳若いながらに武道家としても一部で名が知れ、家も大商家と目立たないわけがない。銀色の髪も紫の瞳も特に珍しいものではないのに、どうしてか華やかに見えた。

 銀(しろがね)の虎――陰でそう呼ばれているということを、本人は知っていたのだろうか。

 そんなふうに正反対な僕と千代木であったから、当然必要最低限の言葉しか交わさなかった。入学してからの一年間は、ほとんど接触した覚えがない。


 今のような関係になるきっかけ?
 さもないことだ。


「…………へぇ」

 二年生になって間もない頃の教室の清掃中。箒を持っていた僕の右手を無造作に取る。

「剣、やってるのか。ちょっと見せてもらっていいか?」
「嫌だ」
「いいじゃーん、減るもんじゃなしー」
「掃除、早く終わらせないと怒られる」

 そう言い切る前に、ものすごいスピードで何かが顔の近くまで迫ったのがわかった。反射的に左腕で受け止めると、それが千代木の右足だと判明。

「いいねぇ」

 千代木は笑って、次の攻撃に出た。左の正拳。箒の柄で払って、間合いを取る。

 虎の目に射られる――背中が、ぞくりとした。
 でもそれは、恐怖ではない。

 静かに、血が沸く感触。

 しばらく睨み合っていると、担任の声が聞こえた。どうやら喧嘩と思ったクラスメイトが呼んできたらしい。
 思わず構えを解くと、千代木が僕の肩を叩いた。
「おとなしくしていたいところ騒ぎにしちまって悪いな、ロテュス・エルマン・デヴェレイ」
「え」

 何故僕の本名を知っている?

「後で、一緒に来てほしいところがある」

 小さく言うと、僕の返事を待たずに教室を出て行った。


 僕がわけもわからないまま学生限定ギルド『鋼ノ双葉』に加入させられることになったのは、それから一時間足らずのこと。
 帰宅してからギルドに所属したことを伝えると、事後報告にも関わらず父はただ笑って頷いただけだった。



     <To be continued. → side of Chiyoki>





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 正直何故書き始めたのかすっかり忘れていたんですが、どうやら旧ブログで『風舞』を書き終えた後「また何か書きたいな~」と思い旧ブログのアンケート投票でなんとなく上げた案で一番票数が多かったから書いたみたいです

 一応RSというゲームの二次創作ということにはなっていますが、ゲームの世界観やシステム等の要素は『風舞』よりも希薄です 要はキャラ話です

 だから「二次創作というにはちょっとアレかな~」と思い掲載するのを躊躇していたんですが、一部の方からの要望があったのと、派生のお話が個人的に気に入っているのと少し二次創作っぽさが戻ってるような気もしないでもないので踏み切ることに


 途中何かアレなことが出てきたりしますが全然BLとかそういう感じのやつではありません安心してくだたい

 中の人はほもの才能がないのでBLとか書けません大丈夫です


(何が大丈夫なのか。)



 手直ししながらこれからちょこちょこあげていきますね~





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コメント

1. 無題

え…これは3次創作で腐らせろとかそういう…(違

ちょwwwww

やめて差し上げて下さい二人の関係にヒビがwwwww
 
いや別に3次で腐らせても全然構いませんけど
中の人はそのへん放任です

中の人

HN:
半井
性別:
女性
職業:
ごはんをつくるヒキコモリ
趣味:
なんかかくこと
自己紹介:
チーズと鶏肉でホイホイ釣られるチョコミン党員しょうゆ厨
原産:駿河国
生息:伊賀国

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