the Drop Down Sirius

日常・一次創作・二次創作ごった煮

風に舞う花/第八話 Date




 午前十一時四十八分。
「な、何着よう……」
 午後十三時にいつもの場所で待ち合わせなのだが、ウィザードとしての装備であるコートは修繕中。残念ながら現在替えは持っていない。
「だとすると、普通の戦闘用でない服……になるのよね……」
 クローゼットの中を探る。服自体は沢山ある。自身は勉学に夢中な青春時代を送ってきたせいで服装に関しては無頓着なのだが、兄が季節が変わるごとに新しい服を贈ってくるのだ。
「……少し片付けなくちゃ」
 一人暮らしの部屋はごちゃごちゃしている。片付けていないわけではないが、物が多いのだ。箪笥の肥やしも大概だが、何しろ本が多すぎる。書棚に入りきらない分が、床やら机の上やらに平積みになっている。
「あ」
 そういえば学生の頃に書いたデスピンサーについてのレポートを風散が読みたいと言っていたのを思い出す。
「ど、どこだっけ……確かレポートの類はこの辺りに……」
 机の上の書類ケースを探ると、
「きゃあああああ!!!!」
 雪崩れた。グリシーヌは脱力しその場にへたり込む。
「ああ……もう……」
 そのときドアがノックされた。
「せんぱーい。いますかー」
 親しい後輩の声を聞いた瞬間、グリシーヌは「ぱぁっ」と表情を明るくして出迎えた。
「ソーティスくん! 待ってたわ!!」
 歓迎の抱擁をされて、ソーティス・スタインクルーガーは硬直した。
「こんにちは……苦しいから離して下さい……」



     ‐Date‐



「えーっ、と」
 ソーティスは部屋を見渡す。
「研究室もすごかったけど……もうちょっとどうにかならないもんですかね、これ」
「これでも引っ越すとき精一杯削ったのよ」
「……まぁ、風散の部屋もすっごいけど」
 気になるキーワードにグリシーヌのアンテナが反応する。
「風散くんの部屋?」
 お、食い付いた――ソーティスは内心にやりとするが、表情には出さない。そもそも風散とグリシーヌを出会わせたのはソーティスである。双方からの話をある程度聞いているので、お互いが惹かれ合っていることは察しがついていた。
「実家の部屋はおっきい机がでーんとあって、上に本とか実験器具とか薬品の瓶とかオモチャとかがごちゃごちゃと。壁は一面何が書いてあるのかわからない謎のメモだらけ。本人はどこに何があるのか把握してるみたいですけどね。床はインクやら薬品やらこぼしてて汚いし、机で寝るのが落ち着くとかでベッドがないんですよ。信じられます?」
 想像を絶する部屋の様子にグリシーヌは怯んだ。自分の部屋などまだ可愛い方らしい。
「そ……それは壮絶な空間ね……」
「今住んでるところも寝るスペースが辛うじて……いや、秋には居間の床で寝てたな? ってことはもうベッドも侵略されてるのか……最近は寒いからって寝床に侵入されるとか梅兄言ってたような……自分の部屋以外はすごくきれいに掃除するんですけどね、あいつ」
 一体どれだけ散らかっているというのか。
「それより」
 ソーティスはじろっとグリシーヌを見る。
「何ですかその格好。来たのが僕だからいいようなものの」
 ガウンを羽織ってはいるが、その下は繊細なレースが盛り沢山のキャミソールにふんわりとしたドロワースとどう見ても下着姿である。
「だって……何着たらいいのかわからないの……」
 どうやら、着替えようとしたはいいがそのまま服を選べずにいたらしい。ソーティスが来てほしいという耳打ちを受けてから小一時間はこのままでいた計算になる。
「そんなの普段通りでいいじゃないですか。さっさと着ないと風邪引きますよ」
「ソーティスくん私のオフでの格好知ってるでしょ」
 研究員時代のグリシーヌはというと休日もほとんど室内に引き篭もっていたため、シンプルな木綿のシャツにくたくたのズボンといった年頃の娘にあるまじき極めてラフな格好をしていた。そういえば胸がなければまるで男だとか何度も思ったよな――
「ええ、まぁ」
 ソーティスは深々と溜め息をついた。
「でも、セブローさんとこにコート取りに行くだけなんですよね? しかも一緒に行くの風散だし。あいつなら多少変なカッコしててもさほど気には」
「そういうわけにもいかないわ。私、風散くんと一緒にいるとき結構ちゃんとした格好してるのよ。それに、その後お礼にお食事とか……言っちゃったし……それなりの、その……何というか……」
 急にもじもじし出す。これまで見たことのないグリシーヌの様子に、ソーティスは半分戸惑い半分微笑ましいと感じた。彼女がそうなってしまっている原因が、自分のよく知るゴムボールのような少年というのが少し複雑ではあるが。
「はいはい、デートですもんね。クローゼット見せて下さいね~」
「ちょっ、ちがっ……デートじゃなくて!」
 既に開け放たれていたクローゼットは、隙間なく洋服と洋服の入った箱が収められている。どれもが上等の布地が使用された、彼女だけのために作られたものだ。
「増えましたね……どうせ引き篭もってばっかりなんだから、こんなにあっても着ないでしょ。お兄さんに規制かけたらどうですか?」
 ソーティスは遠慮なく中を探ると、適当に見繕った何着かの候補をベッドの上に放り投げた。学生の頃もグリシーヌの外出時に何度も呼び出されては服を選ばされている。
「今日は比較的あったかいから厚手のコートとかは着なくても大丈夫ですよね」
「ごめんなさいね、わざわざ呼び出しちゃって……」
「何度も言ってますけど、姉が二人いると思えば何てことは……ていうか服選んでもらうんなら僕以外にも誰かいたでしょ。カティヤとかイリス先輩とか」
「二人とも遠方に嫁いじゃったのよ。イリスなんて子ども生まれたそうだし」
「あ、えぇと……何かごめんなさい」
「何それ行き遅れの私に対する厭味?」
 ぷっと膨れるグリシーヌにソーティスは笑う。
「でもそれって貴族としての話でしょう? 個人的な意見を言わせてもらうと、二十七じゃまだ許容範囲だと思いますけどね」
「まだ二十六よ」
「すみません」
「ソーティスくんは、そうやってすずろさんの服も見立てたりするの?」
 見立て、と繰り返してソーティスは苦笑する。
「あの人がめんどくさがりなのをいいことに両親と一緒になって着せ替えして楽しんでるだけです。あ、このケープ……より、こっちのが合うか」
「妙に女性のファッションに詳しいのは元カノのせいだけじゃないのね。ねぇ、どうしてネフェリィと別れたの?」
「ただ単にフラれたんですよ。……はい、じゃあ、インナーこれで、このドレスと、そこのボレロ。さっさと着て下さい、メイクの時間あんまりないですから。あとそこに掛かってるストールと……あ、ブローチか何か持ってます? 戦闘用じゃないやつ」
「あ、えと、確かここの鏡台の……きゃあああああ!!」
 また、雪崩れた。ソーティスが嘆息する。
「今度、片付けもお手伝いしましょうか?」
「お……お願いします……」


 午後十三時。
「あ、やほーグリシー……ヌ」
 風散の動きが止まった。
 どころか、噴水の周囲にいる人々の視線が集まる。
 決して着飾っているわけではないが、清麗な女性がそこにいた。
 ぽかんとしている風散に、グリシーヌは不安になる。
「あ、あの……どこか変、かしら?」
「いや、可愛い。超可愛い」
「えっ」
 さくっと褒められて、耳朶まで赤く染まり俯く。
「あ……ありが、とう……」
 これまでと全く違う服装と雰囲気に、風散も当惑している。
「……お昼ごはん、食べた?」
「あ、ええ、まぁ……」
「そっか。じゃ、行こう」
 言いながら、歩こうとしない。グリシーヌは怪訝な顔をした。
「風散くん? どうか、した?」
「……この場合は、こっちの方がいいよね」
 いつもは遠慮なく手を引くところを、一歩前に出て、腕を差し出す。
「どうぞ、レディー」
「…………はいっ」
 そっと置くように手を添えると、ゆっくり歩き出した。
「ソーティス、ぐっじょぶ」
「えっ?」
「何でもないっ」


 風散もグリシーヌも、緊張していた。
 沈黙はよくないと話題を探して話してはいるが、上の空で自分でも何を話しているのかよくわかっていない。正直なところ、相手の相槌すら頭に入ってこない。
(やばいなぁ)
 緊張しながらも風散が冷静に状況を解析し始めたのは、テレポーターに転送してもらいシュトラセラトに着いてからのことだった。
 元々やわらかい空気を醸し出し体のラインも凹凸がしっかり出ているため、長いコートにズボン、そしてブーツという典型的なウィザードの格好をしていてもとても女性らしいグリシーヌではある。が、年相応の派手すぎず地味すぎないドレスを着てうっすらと化粧を施しただけでこんなにも変わるとは――
 一方のグリシーヌも、思考がまともに働き始める。
(どうしよう……)
 道服でなく長い丈の燕尾型のジャケットを着た風散はどう見ても良家の子息である。服装のせいか身のこなしも丁寧で、いつもより若干大人びて見える。
「セブローさんとこ、行ったことあるよね?」
「ええ」
 冒険家として活動を始めた頃、クエストの関係で訪れたことがある。
「たまにはゆっくり歩いていくのもいいけど、ちょっと距離あるから絨毯乗ろっか」
 風散はポータル・スフィアーを取り出すと、移動用飛行絨毯を出現させた。グリシーヌの手を取って先に乗せる。
「…………」
 視線を感じて、グリシーヌは少し照れながらゆっくり絨毯の上に腰を下ろす。
「どうか……した?」
「何かさ……変な感じ、だよね」
「……ええ」
 いつもしていることなのに、服装と目的が違うだけでこんなにも心が落ち着かなくなるとは。
「ほんとにデートみたいだ」
「!!!!」
「冗談だよ」
 苦笑しながら風散も絨毯に乗る。
「今日は掴まんなくていいよ、ゆっくり行くから」
 小走りくらいのスピードで、するすると絨毯が動く。街路樹の下を通ると木漏れ日がきらきらと眩しい。
 ふと、デートという言葉を思い出し、グリシーヌは顔が熱くなる――違う、違うのよ。これはそういうんじゃない!
「あ、あの……風散、くん」

 どうして、変な冗談ばっかり言うの?

「ん?」
「あ、いや、あの…………そ、そういえばこれ、前に読みたいって言ってたから……」
 大きな封筒を渡す。中身を確認した風散は顔を輝かせた。
「あ! うん、ありがと! 帰ったらゆっくり読む!」
「一応、デスピンサーとかティリンドラとか、モンスターを題材にしてるけど……いいの?」
「あぁ、グリシーヌの専攻って魔法科学だったっけ? だいじょーぶだよ、昔多少齧ったから大体わかる」
「風散くんは、魔法生物学……だったわよね?」
「うん。博士号持ってるのは魔法生物学と属性物理学と数理論理学。数理論理より統計学のが得意だけどねー」
「そ、そう……」
 にへーっと笑う少年からは想像もつかない経歴である。やはり彼はとてつもない存在なのだ。
 と、
「おぅ、姉弟にしちゃ似てねぇな」
「まさかカップルってわけでもねーよな?」
 大柄な男が数人、行く手を阻んだ。シュトラセラトは同じ港町でもシーフだらけのブリッジヘッドに比べれば治安はいいが、それでも市街地から少しでも出れば手癖の悪い輩に絡まれることはままある。酒を出す店が多いのにも起因しているのかもしれない。
「悪いこた言わねぇ。坊主、有り金出して失せな」
 リーダーらしき男に、風散は面倒臭そうに顔を顰める。
「あんたら船乗りだろ? 大の海の男がカツアゲとか、恥ってもんを知らねーの?」
「うるせぇ! ガタガタ抜かしてっとっ……」
 飛び掛ってきたと思ったその男が、言い切らないうちにその場に沈んだ。いつの間に跳んだのか、踵落としをきれいに決めた風散がすたっ、と着地する。
「うるせーのはどっちだよ。ガタガタ抜かしてるとボコボコにすんぞ」
 ジャケットのポケットから皮のグローブを取り出し、手に嵌める。
「備えあれば憂いなし、ってか」
 グリシーヌは絨毯に座ったまま、目を丸くする。
「それ、攻速手……」
「いつものガントレットじゃ嵩張るから代用品だけど。一応これも持ってきた」
 首元から青いリボンを引っ張り出す。そこにぶら下がっているのは、風散が愛用している攻撃速度と属性攻撃のついた勲章だった。
「どこで何があるかわかんないしね」
「……実は私も」
 座ったまま、ドレスの裾を上げる。
 左の腿、ドロワースの裾の上に、ベルトで短い杖が固定されていた。
「ちょ、グリシーヌ」
「どこで何があるかわからないものね」
 にっこり笑って杖をベルトから引き抜きながら首に巻いたストールを裏返すと、戦闘用のブローチも付いている。
 グリシーヌは絨毯から降りてチャージングした。
「支援、あんまり長くもたないけど」
「大丈夫、人間相手じゃアスヒもいらないくらいだよ」
 身構える二人に、男たちは驚きを隠せない。
「て、てめぇらっ……」
「何者だっ……!」
 二人は顔を見合わせると、
「武道家と、」
「ウィザードです」
 それぞれ己の職を示した。


 話を聞いたセブローは声を上げて笑った。
「そりゃそうだよ。風散くんもグリシーヌさんも、それっぽく見えないからね」
「俺これでも腹筋ちょっとだけ割れてきてるんだぞ」
 不満げに言いながら、ほら、とシャツをたくし上げる。グリシーヌは視線を逸らし、セブローは苦笑いした。
「風散くんは細いし、背丈もまだそんなに大きくないもんなぁ。道服着てなきゃ武道家に見えない。グリシーヌさんだって、こんな可愛らしいお嬢さんがウィザードだなんて言われなきゃ誰も思わないさ。……はい、このコートだね。ちょっと羽織ってみて」
 畳まれた萌黄色のコートを受け取ると、広げてみる。デザインは以前のものとほぼ同じの女物だが、質感が違う。
「これ……」
「焦げた箇所が多かったからちょっと修繕が難しくてね。新しく仕立て直させてもらったよ」
 グリシーヌは風散を見た。風散は出されたコーヒーにどぼどぼミルクを入れている。
「ん? ああ、それね。俺のせいだから弁償させてもらいました」
「でっ、でもっ……これ、前のより知識がっ」
「うん、最補だね。あんま速くないけど攻撃速度もついてる」
「受け取れないわ!」
「でもグリシーヌ、他のコートもお金もないでしょ?」
「う」
 言葉を返せなかった。貴族の出とはいっても、侯爵である兄に頼らないようにしているため貯金も所持金もさほど多くはない。
「いいから黙って受け取ってよ。俺なら大丈夫、兄ちゃん養ってるぐらいだしさ」
「でも、だって、そもそもあれは私がクエストを」
「連れてったのは俺だよ」
「だけど、あのレベルなら……私、一人でも……」
「え、何、俺邪魔だった?」
「いやっ……そういうことじゃなくてっ……」
「ま、邪魔って言われてもついてくけどね。ソーティスにも頼まれてるし?」
「…………もう」
 呆れ返る。
「風散くんもソーティスくんも、どれだけ過保護なのよ」
 セブローが苦笑いする。
「ナイトの存在は重要だよ。モンスターだけを相手にするならまだいいけど、さっきの話のように人間が相手じゃ低レベルのうちだと対処しにくいだろうし」
「でも、私はウィザードです。風散くんと行動する前は一人でやってきてました」
「今回はグリシーヌさんが冒険家のウィザードだって知って怯むような相手だったからラッキーだったんだよ。冒険家上がりの暴漢なんて掃いて捨てるほどいるんだし、ウィザードは万能職だけど低レベルのうちはなめられやすいからね。特に女性じゃ、一人で行動するのは危ない」
「…………」
 解せないという気持ちが顔いっぱいに広がっているグリシーヌが俯いていると、風散がコートを取って広げた。
「それよりほら、着てみなよ」
「……はい」
 袖を通す。
 軽くやわらかく、肌触りがいい布地。きっと最高級のものだろう。グリシーヌは何だか申し訳なく思えてきた。いくら弁償といったって、以前使用していたものよりも格段に質が高いものを渡されても心苦しい。
「……ねぇ、風散くん。やっぱりこのコートのお金」
「気にすんなって言ってんじゃん。……あぁ、うん、いいね。やっぱその色似合う」
 風散がそういうことを何の躊躇もせずに言うというのはわかっているものの、やはりさらっと言われると照れる。
「あ、ありがとう……」
「あと、これもだね」
 セブローが風散に箱を差し出した。受け取った風散はそのままグリシーヌに手渡す。
「これは、俺があげたくてあげるもの。返品不可だからね!」
「え」
 蓋を開けると、美しいエメラルドグリーン――また別のコートが収められていた。
「あっ、ちょっ……風散くんっ、これっ!」
「じゃーん。ウィズダムカバーでーす。頑張ってレベル上げて着てね」
「受け取」
「ってちょーだい」
「…………はい。ありがとう、ございます」
「おっけ! あ、そだ。今度速度杖も」
「結構です!」
 二人のやりとりにセブローは笑った。


 シュトラセラトに戻りブルースビストロで夕食をとった後、古都に戻るためにテレポーターの方へと歩いていた。
「そうだなぁ。ギルドに入ったらいいんじゃない?」
「ギルド?」
「うん。その方がいろいろ便利だし、俺じゃなくても誰かと一緒に行動できて楽しいしさ。俺と同じとこに――って言いたいところだけど、今ちょっといろいろあってお勧めできないんだよなぁ……あ、そうだ。梅兄ちゃんと同じとこならいいかも! 今度紹介してもらうように言っとくね」
「そんな、何から何までしてもらっちゃって……」
 にこっ、と風散は笑う。
「いいんだよ。俺がしたくてしてるだけだからさ」
「あら珍しいじゃない。超絶モノグサのフーちゃんが他人の面倒見るなんて」
 言葉の割に妙に低い声。
 振り返ると、商人風の背の高い男がにやにやしながらこちらを見ていた。風散は大きな目を丸くする。
「ちよ兄ちゃん」
「元気そうね風散。こっち来たなら家寄ってけばいいのに」
「週一で帰ってんじゃん」
「知らないわよ、アタシ最近どこそこ飛ばされてロクに家に帰ってないのよ。今だってようやく古都から陸路で戻ってきたとこなんだから。……で、」
 外見と言葉遣いの一致しない男は、グリシーヌを眺め回す。
「なぁに? 貴女フーちゃんの彼女?」
「ちっ、違います!」
「あらやだ、赤くなっちゃって~。カ~ワイイ~☆」
 何ともいえない違和感。姿形はなかなかの美丈夫だのに、言葉遣いだけがどうしてもおかしい。
「そうそう、遅れました。風散の兄の千代木です。よろしく、レディー」
 初対面のときの風散がしたように、グリシーヌの手を取って軽く唇を当てる。兄弟だけあって同じように教育が行き届いているようだ。
「ウィザードのグリシーヌ・クリスティン・デヴェレイです。いつも弟さんにはお世話になっています」
「あらやだ、ウィザード!? まー! こんな可愛らしいお嬢さんが!? やぁだ、困る!」
 何が困るというのだろう。
「フーちゃん、今度うちに連れていらっしゃいな!」
「あー、うん、そのうちねそのうち。じゃ、もう行くから」
 グリシーヌの手を引いて、そそくさとその場を立ち去る。
 二人がテレポーターに依頼して移動したのを見届けた千代木は苦笑いして、
「おーい梅ー……ああ、本人確認した。確かにありゃ可愛い、風散が惚れるはずだわ。おっぱいでけーし」
 呟くように、耳打ちした。





------------------------------


 テテーン! グリシーヌは あたらしいそうびを てにいれた!

 そして本作のジョーカーたるティーニカ家長男・千代木初登場



 ここから話は急展開を迎えます






拍手

コメント

中の人

HN:
半井
性別:
女性
職業:
ごはんをつくるヒキコモリ
趣味:
なんかかくこと
自己紹介:
チーズと鶏肉でホイホイ釣られるチョコミン党員しょうゆ厨
原産:駿河国
生息:伊賀国

カウンター

カレンダー

09 2017/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

最新CM

[03/28 るん]
[11/22 アサルト]
[08/04 アカアオ]
[01/13 れぃす]
[07/07 ぜっさんはつばいt(ry]

ついったん

アクセス解析